中秋節と月餅の思い出。餡に入っている、黄色くて丸い不味いもの。年をとったら、変なものは嫌い。















日本と比較して中国には祝日が少ないです。故に、サラリーマンの勤務日数で考えると中国駐在は出勤日が多いので日本勤務よりも損をします。しかしながら中国には独特の祝日があるので、一寸した異国情緒を感じることが出来ます。
9月中旬の中秋節はそんなお休みで、実質的にお休み日数は一日だけですが、中国人は家族で集まってご馳走と月餅を食べます。企業によっては、社員に大箱入りの月餅セットを配布する場合もあります。

中国勤務の時、中秋節の頃になると会社の休憩室テーブルに取引先からのプレゼントのお裾分けで月餅が置いてあることがしばしばでした。月餅は中国菓子の典型で、豚の脂が沢山入っているのでシツコイ甘さが特徴です。中国人同僚に聞いてみましたが、若い世代の彼らは月餅を美味しいと思っている訳ではなくて、季節の風物として毎年一口だけ食べる、と言った位置付けのようです。

私の母親は上海からの引き揚げ者だったので、私の子供の頃、母親には何となく中国贔屓の言動が多かったです。その一環で月餅に対する依怙贔屓が激しくて、その影響で自宅にはお八つとして月餅があることが多かったです。母親は異様な程に中国好きでした。

然しながら母親は80歳の頃、中国での排日機運を境に掌を返すように中国を毛嫌いするようになって毎年の中国旅行も止めたので「感情に左右されている癖に、人はその時々で偉そうなことを言うんだなぁ。」と腑に落ちました。
人は、感情に左右されるという点において犬畜生と同じです。

日本の製菓会社が製造した当たり前の餡入り月餅ならば問題ないのですが、横浜中華街で買った本場風の月餅の餡には何か黄色くて丸い不味いものが入っていることがあり「嫌だなぁ」と思ったことがあります。
成長してから、あの黄色いものは卵の黄身の塩漬けだったことを知り「そりゃ子供の私が不味いと思ったのは当たり前だなぁ。」と大いに腑に落ちました。
2023年に亡くなった私の母親は食品の賞味期限に関する意識が欠如しており、月餅などの半生菓子ですら永遠に傷まないと考えていて、子供の私に古い半生菓子を食べることを強いたのも嫌な思い出です。

中国の月餅の餡には、訳の判らない木の実、練った黒ゴマ、蓮の種、脂たっぷりの豚肉といったChallengingでDangerousなものが入っている場合があるので、中国駐在時の月餅にはロシアンルーレットのような風情がありました。

食べ物に限りませんが、変なものを面白がるのは体力に自信のある若い間だけです。
私は若い頃、変な物全般が大好きでした。故に変な食べ物も好きでした。
しかし、もう年をとったので変な食べ物は真っ平ご免です。味を良く知っていて、新鮮で安心できる食材で作られた平凡な食べ物だけを食べて生きて行きたいと思います。
2024/9/27

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