何故、1980年代まで飛ぶ鳥を落とす勢いだったMBA資格は全く人気が無くなったのか?アメリカでMBA資格を取得して、「英語・中国語・フランス語が堪能。アメリカ・中国で勤務経験あり。管理・財務・営業全ての職種の経験あり。」なのに無職の私が、60歳代になって社会構造の変化と自分の人生を振り返る。


 







日本のTVコマーシャル(恐らくユンケルのCM)で「24時間働けますか!Japanese Businessman!」なんて恥知らずなフレーズが連呼されていた、1980年代後半のお話です。日本のGDPはバブルと共に増加し続けており、早々にアメリカを追い抜いて日本はGDP世界一位になるとも言われておりました。
一方、中国はあまりにも後進国で、インフラが劣悪で従業員の質も確保出来ないため、中国は日本企業の工場進出先の候補にならなかった頃です。

その頃の日本大手企業では従業員に入社後教育を施すことが流行っており、事務系社員の私は、27歳の頃、単なる偶然によりアメリカMBA留学のScholarship資格を会社から頂きました。

それも至れり尽くせりで、先ずは静岡県富士宮市の樹海近くにある国内留学施設で1年程の寮生活+英語研修を受けて、そこで得られる単位をTransferして、アリゾナ州にあるビジネススクールに半年程度行けば大概100%無事に卒業してMBA資格を取得出来るという、将にイカサマのMBA(無理やり短縮)コースに行って来いと言われたのです。

要するに、延べ2年弱、富士宮とアリゾナで遊んで来いと言われたようなものです。
因みに、日本人でもアメリカ人でも、このアリゾナのビジネススクールで通常の手段でMBAを取得しようとすると、先ずMBA校に入学するための試験もありますし、アリゾナ現地に最低2年強、居続けて勉強しなければなりませんし、北米留学には生活費と学費のためにお金が沢山必要ですし、他にも色んな困難が待ち受けているのが普通です。

このアリゾナのMBA校は、Thunderbird Business Schoolと言います。
オチを先に話すようで間が悪いですが、MBA資格人気の低下に伴ってこのMBA校は閉校されて近隣のアリゾナ州立大学に吸収され、そこで細々と「Thunderbird MBAコース」を設置しております。

呆れてしまいますが、つい最近までThunderbird Business Schoolは数あるMBAスクールの中で評価が高く、人気があったのです。
その学校が閉校してしまうんですから、もうMBA校の教育内容に価値のないことは証明済みです。速やかに、このブログを読むのは止めましょう。時間の無駄です。

ともあれ、1980年代の日本大企業の従業員には、海外MBA留学に際しても、こんなインチキによるお手盛り優遇措置がまかり通っていました。当時、伸長著しかったJapan Moneyの力だと思います。今更ながら恥ずかしく思います。

さて、そんな御大層なアリゾナ州のMBAスクールのMBA資格所持者である私は、「慶応大学卒、Thunderbird Business School MBA取得、英語・中国語・フランス語が堪能。アメリカ・中国で勤務経験あり。管理・財務・営業全ての職種の経験あり。」という華々しいキャリアを誇る61歳日本人です。カッコいいですね。さて、こんな無職の私に求人はあるでしょうか?

ゼロです。

ここで私の性格上の欠陥を攻め立てて、61歳無職の私に求人が無い理由をチビチビあげつらって吊るし上げるのも楽しいのですが、趣向を変えて&話を一般化させて、「何故、MBA資格取得者は世間で求められなくなったのか?」について私の考えを述べます。

①MBA取得者は業務改善が出来るか?→出来ない。

MBAスクールでは、財務・人事・経営・広告その他に関して、MBAスクールが自ら工夫した座学・実習によって、実際の業務を経験したかのように各業務の知識と対応力のエッセンスを習得出来ます。
しかしながら、それらは柔道や剣道の「形」を覚えるだけのことで、応用動作や改善活動のための独創性は身に付いておりません。

従って、実務現場に配属されたMBA卒業生が若し「何か提案はあるか?」と問われたら、「この会社のやり方は、標準的なやり方と違う。」と発言するのが精々です。

実際のところ、当該企業の現場に改善の余地があるかどうかは、経験・独創性・視野の広さに負う部分が大きいです。言わば「地道な努力の汗・全く違う分野での経験から導き出された芸術性・よそ見が好きな好奇心」ですな。これらはMBA校を卒業しても、身に付きません。

従って業務改善において、MBA資格取得者は役立たずと言えます。自分で手を動かさない奴は要らねえんだよ!石つぶしが!って感じです。
寧ろ、当該業務を他社で苦労して経験&改善経験のある、突破力はあるけど一寸変わり者で、色んな部署と図太いネットワークを築くのが得意な、酒好きの太っ腹姉ちゃんを雇ってくるのが、業務改善のためには役に立つと思います。

さらに追加すると、IT普及によって会社内の知識の共有化が出来るようになりました。従って「ビジネスの知恵袋」のように色んなことを知っている(但し知っているだけ。単なる物知り)ことが長所だったMBA資格取得者は、無用の長物になったとも言えます。
例えると、PC普及により百科事典が不要になったのと一緒です。

②MBA取得者は画期的な事業運営が出来るか?→出来ない。

上述①と同じ内容になりそうです。
マニュアルを墨守している方は、マニュアルを壊して新しい事業を進めていくことは出来ません。Innnovationと同じです。破壊から新たな進歩は生まれます。
これら分野に、MBAを卒業したマニュアル墨守の方々は全く役に立ちません。

上述①②理由により、最近の急成長企業のキーパーソンの中には、全くMBA資格取得者が居られないのだと思います。

さて、これでお題に結論が出てメデタシメデタシなのですが、はてさて、改めて私に全く求人お誘いの来ない理由は何故でしょうか?
根本原因は、60歳に至った私にやる気がなくて万事後ろ向きな姿勢であることで、故に仕方がないことだと現実を甘受することに私は決めています。妙に自分を責めたてるのは精神的に不健康なので、止めましょう。
2023/10/25

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