中国による日本水産品の全面輸入禁止は、中国国民へ「中国共産党は頑張っていますよ」とアピールするため。しかし、日本は中国との全面対立は避けるべし。中国は日本の大切なビジネス相手なので、是々非々・薄ら笑いで付き合い続けましょう。
中国に多少でも関わったことがある方はご存じですが、中国政府の政策の多くは、中国共産党が中国人に向かって「中国共産党は頑張っていますよ。正しいことをやっていますよ。信頼して100%支持してね。」とアピールするためにやっていることです。
従って、その主張内容に筋が通っているかどうかに、中国共産党の皆さんは誰も関心がありません。中国共産党の関心は「この政策で、中国人を上手く扇動・誘導できるかどうか?」にしかありません。
目的・論点が違うので、他国はこの国と真面目に議論しても時間の無駄です。
中国共産党が一番恐れているのは「中国共産党に対する中国人の支持低下」です。中国共産党による一党独裁の中国権力システムのお陰で高い所得(違法なものを含む)を得ている方々(役人及び権力の恩恵を受けている一般人)は、現在の体制が崩れてしまうことが何より困ります。即ち、「中国共産党の最大の敵は、共産党の言うことを聞かない中国人」なのです。
中国内には矛盾を含んだ事象が沢山あります。工場からの環境汚染物質の排出は異様に多いし(中国内の原子力発電所からの排水を含む)、建造物の建設現場は手抜き&建材も安物への無断変更だらけで、倒壊の危険のある建造物は至る所にあるし、農作物への農薬使用量はとても多いし、政府が国内すべての土地を所有しているのにマンションを分譲販売しているのは理屈が通らないし、更に中国内の商店・飲食店・物販店における衛生管理は悲惨な状態(=不潔極まりない)なのです。
中国政府は日本の原子力発電所からの処理水排出に反発して日本水産品の全面輸入禁止をするようですが、本当に中国国民の健康を憂慮するならば、中国共産党は、真っ先に前述の中国内の商店・飲食店・物販店における衛生管理を改善するべきだと思います。これら商業施設での不衛生は、中国国民の健康を毎日脅かしているものなのですから(これら店舗は、しばしば不潔で生臭い嫌な匂いがします)。
これに比べたら、核処理水や食品添加物など、人体に悪影響があるとしても時間の掛かるものについては、優先順位を低くするのが当たり前です。
一般中国人の奮起を期待したいところですが、残念ながら一般中国人は「有力な為政者には黙って従う。自分の意見は公表しない。与えられた制度の中で抜け道やズルい方法を見つけ出して、自分だけ得をしようとする。」という性癖が強いです。
中国で有力者が悪事を働いても、一般中国人は「有力者なんだから、悪事をする権利があるのだ。」と素直に受け入れてしまいます。相当に教育を受けた人でも、そのようなモラル観なのです。
一言で言うと、中国人庶民には倫理をわきまえる心構えがありません。
横道にそれますが、中国国内で一般中国人に少しでも政治が絡んだ話をすると、見事に無視されます(何度も経験あり)。中国人の身に付いた防衛本能なのだと思います。稀に積極的に中国共産党の弁護をする中国人が居ますが、進学や就職で有利になることを目的として学生の時に共産党に入っていたりします(出自が貧乏な人が多い印象あり)。
早々に中国から海外に出て生活している中国人の中には「中国共産党が誘導・扇動して、教育のない中国人が悪ノリして日本批判をして、それを中国マスコミが報道するという何時もの中国共産党の手口が嫌い。」なんてマトモなことを言う人も居ますが、これらの方々はマトモなので中国内では息苦しくて暮らせないと思います。
(因みに、日本の原子力発電所からの処理水排出に抗議する嫌がらせ電話が福島県関係者に掛かってきたそうですが、明らかに中国共産党によるヤラセです。中国共産党員の皆さん、ご苦労様です。)
中国に民主化は当分訪れないと思います。
「今日のゼニを自分が人より多く稼げれば、世の中の善悪には自分は関係ない。自分は身の回りの世界で生活が充実すればそれで良い。」という一般中国人が中国内では大多数を占めているのですから、仕方がありません。一般中国人がが自由意思で選べば良いと思います。
中国内はそれで良いでしょうが、日本は中国からの無理難題への対応方法に悩むところです。
しかしながら貿易で儲けていくことが必然的に求められる島国日本としては、引き続き中国相手にビジネスをしていくことが不可避です。今時点で、日本の輸出入の最大相手国は中国です。更に、今後経済成長が期待出来るのはBRICSを初めとした現時点の発展途上国です。
これらの今後の経済成長が期待出来るBRICS諸国と経済的に親しくしていないと、日本は貧しくなってしまいます。
再び横道にそれます。日本人は見て見ぬふりをしていますが、成熟し切った北米や欧州(パンパン根性の染みついた我々日本人は、本音を言うと白人の国々が大好き!ですよね?)が今後経済成長していく可能性はゼロです。
日本が、領土の主張、人権、不正行為に関して相手国を選ばずに主張し続ける必要があるのは勿論ですが、我々は同時に経済活動を通じて金を稼ぎつづける必要があります。現状の日本の高い生活水準を維持するためには、残念ながら日本の国土は小さすぎ・人口は少なすぎなので、北米のように一国独立のモンロー主義で暮らしていくことは出来ません。
故に稚拙で筋の通らないBRICSを初めとした発展途上国(例えGDPが日本を上回っていようとも)の主張・ゴリ押しに対しても、日本は国交断絶はしないように(大切な商売相手ですから)、バランスをとりつつ付き合っていく必要があると思います。
私は私生活においては筋を通すのが信条ですが、本件について日本は玉虫色の対応をするのが最善と思います。
日本においては、中国の非を糾弾し続ける識者の方が多く居られまして、彼らの主張はほぼ全て正しいです。しかし、これらの識者の方は皆さんしっかりした資産をお持ちです。彼らは、自分の主義主張を原因として日本経済が揺らいでも、自分らの暮らしには全く困らないのです。
一方、私共貧乏な庶民は、正義感や愛国心に殉じて今後ずっと貧しい暮らしをする覚悟はない筈なので、軽々に中国悪人論に便乗して世界における経済弱者に転落するのは止めた方が良いと思います。庶民は、自分達が毎日食べるご飯を確保すること(現実)を忘れてはなりません。
更に補足しますと、中国は日本の大切なビジネス相手ですけれど、中国内に日本の製造拠点を持っていくと、様々な手段で日本の技術情報をキレイに丸裸にされ、中国企業に丸々コピーされてしまいます。
日本は中国への製造移管はせずに、専ら貿易・製品売買によって是々非々・薄ら笑いで中国と付き合っていくのが得策と思います。
2023/8/26