The CarsのRic OcasekもBenjamin Orrも東欧がルーツだった。長年感じていた違和感の理由が判った気がした。
1980年代前半の洋楽全盛時代に学生だった私にとって、ポップスと言えば洋楽でした。中でも、MelodyがCatchyでLyricsがCoolなThe Carsはとても好きでした。「売れなくなったから解散する。」という態度も、才能が尽きた後もお金のために駄作を量産し続けるグループも多い中で、とても格好良いと思いました。
一方、アメリカ文化に触れる機会が多かった私は、The Carsの二枚看板であるRic OcasekとBenjamin Orrについて違和感を禁じえませんでした。「あんな奇妙な顔の奴らは、一般アメリカ人の中には絶対に居ない。」のです。最近、Wikipediaで両名の両親が共に東欧にルーツを持つ移民であることを知り、やっとタブーを含めた長年のモヤモヤが晴れた気がしました(因みに、これら彼らの人種的ルーツ情報がWikiperiaに記載されたのは最近のことです)。
アメリカでは白人、黒人、ヒスパニック、アジア人といった大きなくくりの人種差別だけでなく、白人の中でも出身地域による差別があります。特に東欧出身者への差別は、陰険で根強いものがあります。アメリカ人は金持ちを称賛し貧乏人を蔑視する傾向が強いので、言語のハンディキャップによって貧しい暮らしをしている東欧からの移民を見下す有様は、いたたまれない程の過酷さです。
これは、アジア人である日本人が、欧米人をチヤホヤする癖にアジア人に対しては掌を返したように冷淡に接するのと同じです。要するに白人内の近親憎悪です。
話は横道にそれますが、日本人が欧米人に異様に友好的なのは、戦後のパンパン風俗が日本人の本質になっている証拠だと思います。パンパン上がりの人は、今日の日本人の中に沢山居ますからね。
司馬遼太郎が「捕虜生活をした者は、一生その軛から抜け出せない。」と言った通りです。逆の例ですが、私の母親は戦中に上海で生活していた時に女中を使っていたので、母親は生涯その鼻持ちならない優越意識が染みついた人でした。
上述の通り、私がThe Carsを好きな理由は彼らがCoolだったからなのですが、実際は東欧にルーツを持つRic OcasekとBenjamin Orrが、アメリカ国内の東欧系への差別に抵抗するために、才能と美貌だけを武器にしてアメリカの世間と戦っていた姿が、餓鬼の私から見るとCoolに見えていただけなのかも知れない、と思い至りました。
尚、Ric Ocasekは30歳位年下のチェコ出身のスーパーモデルPaulina Porizkovaと結婚しましたが、RicがPaulinaを選んだのは同じ東欧人同士で人種的出自が関係していたのかも知れません。まあ、単にPaulinaが美人で若いから、女好きの助平なRicが飛びついたのかも知れないけれどね。
2023/6/18