私の人生をTVドラマにしたら、面白いかしら。武者小路実篤が唱える「幸福」とは何か。
仮面ライダーはバッタの改造人間なので、ライダージャンプは凄いのです(多分)。単なる跳躍のように見えますが、仮面ライダーが改造された経緯に思いを致しつつ、必殺技ライダージャンプを見たら感動するのが大人の嗜みです。しかし何で人間とバッタを合体する気になったのか、何でバッタ改造人間をヒーローにしたのか、理解に苦しみます。
仮面ライダーが放映されたのは私が小学校5年の頃で、級友にライダースナックを買ってライダーカードを集めている奴が居ました。
異様に勉強の出来ない子でしたが、後から思い出してみると、発育に問題がある子だったのかも知れません。
彼は、ライダースナック(一寸甘いセンベイみたいだった)を食べ飽きて、カードだけ集めてスナックは捨てたことがあると言っていました。
後のビックリマンチョコのシール、AKBのCD投票券、或いは地下アイドルの握手券に共通しますが、自立していない若者や子供をたぶらかす商売をやる奴は地獄に落ちると思います。
話が脱線しましたが、以下の通り私の人生を3通りのTVドラマに例えてみました。
①学生時代:学園ドラマ。
庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」のように、日本人は頭の良い奴を貴顕と見做す習慣があるので、いかにツマラナイ内容であっても頭の良い奴が主人公なら人気が出るでしょう。
しかしながら勉強の要領が悪くて(要するに頭が悪くて)、スポーツも苦手で、性格もいじけていて顔もパッとしない、何の取柄もない重症のアトピー性皮膚炎の高校生が主人公の学園ドラマは、観ているだけで嫌な気分になることでしょう。
被虐的な資質を持った、勉強の出来ない学生だけが仲間を求めるように観る湿度の高いTVドラマとなり、視聴率は低いと思います。
まあ漫画で似たようなものと言えば、1970年代の佳作「男おいどん」みたいなものですかね。
②サラリーマン時代:戦隊ものアクションドラマ。
私は正義の味方の主人公です。しかしながら毎週、会社内と顧客共、すなわち悪の化身達に主人公の私がケチョンケチョンに痛めつけられます。毎週痛めつけられて、悪の化身達が意気揚々と引き上げていく、見るに堪えないシーンでドラマは終わります。
悲惨に痛めつけられる人を見るのが好きな性格異常者だけが見るドラマになります。
しかし、他人が苦しむ様を安全な場所から眺めるのが好きな人は極めて多いので(私がサラリーマンだった時、私が頻繁に上司に痛めつけられている様子は、社内の人々の哄笑交じりの注目を集めていた)、意外と良い視聴率を記録するでしょう。
③リタイヤ後の今:ホームドラマ。
何も事件の起こらない、Brian Enoの環境音楽、Talk Talkのミニマルミュージック、或いは暖炉の炎を写し続けるYoutubeのようなTVドラマです。リタイヤ老人の私の生態を、淡々とカメラが追うドラマです。
毎日、何も目新しい事件は起こらず、主人公の私は花粉症とか鬱病を言い訳にしてずっと昼寝し続けたり、朝から自分の部屋で独り焼酎を飲みながらインターネットでエッチな動画(最近はチェコのTera Link嬢がお気に入り)を見たり、何かするかと思えば昼過ぎにやっと起床して近所のスーパーに買い物に行って、お弁当と焼酎を買うだけだったりします。
孤独な年寄りの生態観察のような、シュールなドラマです。
このように退屈なTVドラマを楽しめる境地に至った人は、真に幸福だと思います。武者小路実篤が「幸福」とはそのようなものだと唱えていました(ウソ)。2023/3/21