素材製造業に40年近く就業して感謝していること。当社の素材を使用した製品は、波及効果で大きな経済成長の効果を及ぼす。これと対比すると、金融商品は経済成長の先取りに過ぎないので、真の経済成長の効果を毀損して、しばしば計画と現実の乖離(=金融不況)を惹起する。




私は素材製造業に40年近く就業して来ました。感謝していることは、大学で学んだ「産業連関表内の経済波及効果」を、業務を通じて実際に体感出来たことです。

私は40年間、主に合成ゴムその他の素材製品の管理や営業に従事しておりました。

例えば私が管理担当者として若い頃に関与したABC株式会社(仮名)の合成ゴム製品は、原料としてタイヤ製造業者に販売されてタイヤとなりますが、その過程で多数の労働者を雇用しますし、タイヤ製造のための他の素材購買も伴います。私の会社が販売した合成ゴムを含むタイヤは、当然、合成ゴム価格とは比較にならない高価格で、自動車メーカーや消費者に販売されます。その後、自動車メーカーやタイヤ販売店で、新たな雇用や経済効果を生んでいることは勿論です。自動車も、タイヤが無いと商品になりません。

始まりは私が就業していたABC会社(仮名)がタイヤ製造業者に向けて製造販売した、安価の合成ゴム素材に過ぎないのですが、そこから広がる経済波及効果は、雇用・金額合わせて数千万倍になります。
私は何ら高い特殊技能を持たないサラリーマンですが、そんな人間でも上述の巨大な経済活動に参画出来ることに、私はとても感動しました。
ポイントは「実際に新たな雇用や経済効果を生んでいる」ということです。人々の生活が掛っているのです。
この実態を目の当たりにして、若き日の純な私は「業務達成感」「社会への参画」を若くして実感して、充実した日々を過ごしました。まあ、若い人は無邪気なもんです。

さて、最近やっと北米等で金融業界のバブル崩壊再びが取り沙汰されていますが、金融界の社会への貢献とは何でしょう?答えは「掠め取り」です。

金融業界は何ら物理的製品、知財、あるいは技術的進歩を生み出すものではないので、金融工学は、要するに経済成長を前倒しで現金化する手法に過ぎません。要するにその他の人々の生産活動の成果の掠め取りです。
又、アメリカの製造業の空洞化を見ると良く判りますが、あらゆる階層に恩恵をもたらして技術力・Know How蓄積も助ける経済活動は、製造業に他なりません。金融業は、ひとしずくの大儲けする者共を生み出すだけです。

以上の理解の結果、今後リーマンショックの二の舞の経済危機が訪れても、日本経済は底堅いと思います。何故なら、製造業の裏打ちがあるからです。
日本の素材産業・加工業・組み立て産業には、各々の強みと弱みがありますが、これらについては後日判りやすくまとめてみたいと思っています。

北米経済は脆いです。製造業が既に無くなっており、北米の経済界の実態は金融業だからです。

中国の製造業に技術的蓄積はありませんが(ほとんど盗んで来ただけ)、製造業が無い北米よりも数段ましですし、何と言っても中国には労働者になり得る豊富な貧乏人の人口がありますし、他の民族と比較して中国人は極めて優秀です。

最近の日本には、中国人に代わってベトナム人の技術実習生が増えました。しかしベトナム人は、仕事に対する真剣さについて、中国人とは大きな違いがあるようです。

習近平の政策は、既にある中国内の製造業インフラを使って、中国内(プラス親ロシア諸国)に、現状技術で製造可能な産品を提供していくことのように見えます。習近平はアメリカと伍して世界に覇権を広げることは二義的にしか考えていません。最大の関心事は、既存の製造インフラを使って、出来るだけ多くの中国人に富を再分配することです。

話は脱線しますが、中国のコロナ政策の劇的な転換は、コロナ政策を通じて政権内の地盤を盤石にした習近平が、彼の持論である中国経済のDomestic回帰方針はそのままに、もっと重点的に個別の事業家(IT・不動産)への富の偏在を解消しようとし始めた(=ぶち壊し始めた)ことによるものだと観察しています。

話の焦点がずれました。ウクライナ戦争を通じて、欧州はズブズブに肩まで浸かっていたロシア天然ガスからの距離を置くこと(=脱炭素のおとぎ話の終わり)を余儀なくされ、北米は最近まで世界中を牛耳ってきた金融業界の優位性を喪失していくので(=アメリカがロシアとの対立構造に執着した結果、ロシア中国その他の新興諸国がドル経済から自立していく結果です)、欧米経済は今後は相当に苦しくなります。

日本は、こんな時こそカメレオン或いはどっちつかずの腰抜けぶりを活かして、欧米と中露の間で上手く立ち回って経済的に生き延びて欲しいです。日本には製造技術があるから、是々非々で徐々にスタンスを変えていくだけで良いのです。

但し、軍事的な対米従属はもう無理なので、手っ取り早くは米国からのレンタルによる潜水艦核ミサイル配備によって、国土防衛を固める必要があります。

だって、例え日本が核攻撃された場合、米国本土への核攻撃のリスクを冒して、米国が日本を助けて相手を核攻撃すると思いますか?
米国民は、米国本土の米国民の命を犠牲にしてまで極東のアジア人を助けるような、お人好しじゃないですよ。日本人だって同じでしょう?2023/3/18

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