関東大震災から100年。3,000万人都市である東京における首都直下型地震(M8程度)の被害。間隔は最長200年。死者数は最大でも3,000人程度と予想。

 








今年2023年は関東大震災(M8程度)から100年が経過しました。
首都圏の真下にある震源はひずみパワーを貯めているので、最長200年の間隔で首都圏では大地震(M8程度)が起きます。
必ず再び訪れる首都直下型地震による被害内容を推測します。

100年前の関東大震災(死者10万人)による死因は主に火災による焼死、25年前の阪神淡路大震災(死者6,000人)による死因は主に圧死と小規模火災による焼死、10年前の東日本大震災(死者2万人)による死因は主に津波による溺死でした。

次回の首都直下型地震の被害内容は以下3つと推測します。結論を先に言うと、いずれの死者も大変少ない筈です。

焼死:阪神淡路大震災の頃は熱帯魚飼育が流行していて、震災で水槽が壊れた後で電気が復旧した時、水を失った水槽でサーモスタットが異常過熱して、火災が多く発生しました。幸い、熱帯魚飼育は流行が終わったので、この型の火災発生は少ないと思います。
更に、最近のガスメーターには震災遮断装置が付いていますから、ガスによる火災のリスクは低いです。住宅に使用される建材の耐火基準も以前より厳しくなっています。
しかし、消防車が入れないような細い路地奥の、密集し老朽化した木造住宅群で起こる火災は、延焼を防ぎようがありません。
このような密集した住宅群は今でも首都圏内に点在しているので、これら地域では火災が起きて焼死者が出ますが、人数は少ないです。
川崎と千葉の湾岸にある石油精製・石油化学・製鉄所では、化学反応の緊急停止と可燃物の漏洩により、当然ながら大規模な火災が発生します。しかし死者は数名です。工場内で働いている人は災害対策をキチンとやっており、命を懸けて火災の拡大を防ぐからです。

圧死:関東大震災および阪神淡路大震災の時と同様に、老朽化した木造住宅は倒壊します。しかし、幸い木造住宅は軽いので、圧死は意外と少ないです。
又、阪神淡路大震災の後に「耐震改修促進法」が施行されたので新築の建造物は丈夫になりましたし、高速道路や老朽化したコンクリート建築物で積極的に耐震強化工事が実施されたので、圧死の数は少ないと予想します。
一方、1981年の建築基準法改正前の築年で、耐震強化工事をしていないマンションにお住いの方は、震災時の圧死リスクを納得した上で住み続けて頂きたいです。

私の父方の高齢の親戚(私の祖母の兄弟筋)は、阪神淡路大震災の当時、神戸の長田駅前の商店街の木造長屋でボロボロの歯科医院を営んでいました。お爺さん先生が独りで経営しているボロボロの歯科医院でしたが、ご近所の馴染み客(患者?)が多くて、毎日盛況でした。
私は学生時代、旅行で神戸を訪れて歯科医院二階にあったご自宅に泊めてもらったことがありますが、寝ていると屋根裏をネズミが走り回る足音がする、凄い木造長屋でした。
震災で2階建ての木造長屋は文字通りペチャンコになりましたが、高齢のご夫婦は怪我一つなく生き残りました。
尤も、震災を機にボロボロの歯科医院を畳んだ(ペチャンコになっただけに、畳んだ!)ご夫婦は、生きる張り合いが無くなったのか、震災後数年で相次いで亡くなりました。

溺死:陸地内の直下型地震による津波被害は小さいですが、関東大震災でも5m超の津波が神奈川と千葉に到達しました。当時、神奈川と千葉の沿岸には人が殆ど住んでいなかったので被害はありませんでしたが、現在では極めて多くの人が海沿いに住んでいます。
神奈川で言うと、東海道線よりも海側の住宅および川沿いの内陸部の住宅(津波は川を遡上するので)は津波による倒壊被害が出るでしょう。
しかし、5m程度の津波であれば、マンション4階に登れば助かります。震災の際は津波が恐ろしいから直ぐに逃げないとダメだという知識は、皆さん身に付いている筈です。海沿いの戸建て住宅は津波で倒壊しますが、溺死者は少ないと予想します。

以上の通り、次回の首都直下型地震による死者は、3,000万人都市での災害にしては、意外と少ないと予想します。最大でも3,000人程度ではないでしょうか。
震災に伴う死亡原因への対応状況について過去と今を比較すると、対策が実行された項目が多いので、過去よりも今の方が、日本の大震災で死亡する可能性は明らかに低くなっています。

しかしながら、生き残っても自宅倒壊による金銭的被害は膨大なので、震災後に生活に困る人は沢山居ることでしょう。

幸い、首都圏の資産価格は高いので、特に高齢者は、被災後の不自由な避難生活に早々に見切りをつけて土地を売却して現金化して、地価の安い地方に移住して、震災後の首都圏の効率的な都市再設計に貢献することが、問題解決の早道と思います。

現在の東京都心のそこそこ整備された市街は、関東大震災後の復旧計画(夏目漱石の友達、中村是公が関わった)のお陰であることを、100年後に生きる我々も知るべしです。

投げ捨てよ、過去の森。自愛だ。私がついている。泣くやつがあるか。
2023/3/13

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